~糸都岡谷の歴史と新たなシルクブランを伝える~
大正10年に建築された旧山一林組製糸株式会社の事務所棟と守衛所建物です。国登録有形文化財。
山一林組製糸は明治12年創業で、岡谷でも5指に入る大製糸工場でした。昭和2年には、市内に本工場314釜、第2工場284釜、第3工場300釜、諏訪郡永明工場356釜、伊那郡伊奈富工場436釜、県外にも埼玉県熊谷工場320釜、千葉県我孫子工場365釜、静岡県沼津工場540釜、愛知県稲沢工場551釜の合計9工場3,966釜という全国第6位の釜数を誇る大工場でした。昭和4年には林組製糸株式会社、23年にミハト製糸株式会社、36年信栄工業株式会社として精密業に変わり、47年に閉業しました。
山一が後世に語られる時、昭和2年に製糸工女の争議舞台になった「山一争議」を抜きにはできません。同争議は戦前の製糸工場争議では国内最大級であり、19日間に及びました。当時は経済状況が悪く、国内各地で争議が発生した時代でした。今日、現存する事務所・守衛所建物と塀の一部は当時のままで、歴史景観の一部が今に残されている貴重な生き証人であるといえます。
大正10年に建てられた事務所は、全盛期の製糸業をしのぶ数少ない建物として貴重です。木造2階建て、外観は洋風ですが屋根は和瓦で葺かれており、寄せ棟屋根の正面は切り妻破風の屋根を掛け、変化がつけられています。外壁は茶色のタイルが前面に貼られ、柱型が洗い出し仕上げ、外部開口窓は上げ下げ窓で、基礎部分は石貼りで仕上げてあり、一見すると鉄筋コンクリート造りにも見えます。
現在は、絹工房として、絹織物研修・制作に利用されています。「岡谷絹」は、その洗練されたデザインと手織り独特の風合いから新たなシルクブランドとして注目を集めている。岡谷絹を実際に自分で織ることができる機織り体験(要予約)や各種製品の販売コーナーが見どころ。
- お問い合わせ先
- 岡谷市役所 商業観光課(0266-23-4811)
- 住所
- 岡谷市中央町1-13-17
- 定休日
- 岡谷絹工房:毎週月・水・木・金曜日、盆時期、年末年始
- 営業時間
- 9時30分~16時まで
- 入館料
- 機織り体験 2000円 約30分 材料費込み