~製糸工場の水不足を解消する~
生糸の製造には大量の水が必要で、さらに水質の善し悪しが生産性や品質に大きく影響しました。そのため、良質な水を豊富に確保することは製糸業発展の生命線でした。明治中期以降、製糸工場の規模が飛躍的に拡大すると、諏訪湖や天竜川河畔に大工場が集まる一方で、新屋敷などでは水不足が深刻化していました。
大正3年、製糸用水の供給を目的に結成された「丸山製糸水道組合」では折りしも時代が水車から電力への移行期を迎えていたことを受け、天竜川からポンプで水を揚げ、湖岸から650m離れ、湖面より20m高い丸山に貯水する大規模な揚水施設の設置に着手。タンクは同年10月に竣工し、塚間川以西の製糸業地帯へ潤沢な給水を可能にしました。
タンクは外周約38m、高さ約2m、壁の厚さは60cm強あり、内側には砂利混じりの粗いコンクリート造りの環状壁を二重に内包しています。給水能力は1日14時間稼働で1400立方メートル、製糸場3,530釜の需用に対応していました。
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