20旧蚕糸試験場で使用されていた多条繰糸機と繭の標本が認定されています。
終戦後、食料供給の見返りとして、アメリカへ生糸輸出を求めるGHQの要請を受け、農林省は生糸増産と品質向上を目標に優良繭の増産指導機関を全国に展開しました。岡谷には地元製糸家の熱心な誘致活動もあって昭和22年7月「蚕糸試験場岡谷製糸試験所」が設置されました。
その業務は、製糸家と養蚕家間の公正な取引を促す繭検定、製糸技術の改善に向けた試験研究、研究成果を普及する講演や講習などでした。研究施設を持たない中小企業への技術指導は、岡谷の製糸業が息を吹き返す原動力となりました。
多条繰糸機時代には低速低温による最高級生糸の生産に高能率化を両立、研究の過程で生糸の太さを一定に制御する「繊度感知器」を発明し、自動繰糸機の開発と実用化をもたらしました。
多条繰糸機とは、昭和の初期から使われ始めた繰糸機械です。製糸の作業効率を高めるためには糸枠の回転速度を上げるか、糸枠の数(条数)を増やすのですが、回転速度を上げると糸の質が下がってしまいます。このことから、条数を増やし、立って糸取りをする機械ができます。これが多条繰糸機です。
※画像は旧農業生物資源研究所です(現在は岡谷蚕糸博物館となっています)。
- 住所
- 岡谷市郷田1-4-8